それには何も答えずに、これでもかっというくらいの笑顔を返された。

 たぶん。
 あれはかなり、怒っていたんだと思う。

 
 ドアが閉められた後、俺はしばらくその場に立ったままだった。

 
 お互い早く部活が終わって、一緒に帰ることが出来たし、陽菜もこの後用事はないって聞いたから、どこか寄っていこうかと話を切り出す直前だった。


 そんないいところに何で邪魔が入るんだよ。


 昼の明るいうちに帰れるなんて、初めてだったし。
 楽しみにしていたのに。


 陽菜もあいつに会ったら、しきりに帰りたがったし。



 俺よりも歩夢かよ。


 完全に負けてる。


 はあ。
 俺は肩を落とし、陽菜の家を後にした。