場所なんて把握せずに走ったから
よくわからない場所まで来てしまった。
「ハァ…ハァ…」
息切れもすごい。
ものすごく疲れた。
嫌だったけど…あそこまでしなくてもよかったのにね…
あたしはおバカだよ。
「でも…やっぱやだった…」
その場に座り込んでしまった。
立ってる気力もないくらい全速力で走ったからだ。
疲れ果ててうな垂れてたら
「結菜!!!」
聞きなれた…大好きな人の声。
なんで…
「結菜…どうした?!いきなり」
あたしの目の前にやってきてしゃがみ、顔を覗きこんできた。
ここまで追いかけてきたのか、柊斗も息切れしてる。
「ごめん…ね…邪魔しちゃったよ…」
「邪魔なんかじゃないよ!むしろ結菜の顔見れて嬉しかった」
にこってしてぎゅっと抱きしめてくれる柊斗。
なんか安心感が出てくる不思議な感覚。
こんな時にも柊斗はあたしに嬉しい言葉をかけてくれる。
「柊斗ごめんね…でもね…やっぱ不安だった」
教室で言えなかったことを今なら言える気がして
「そっか…俺こそごめんね。結菜がそんな不安に思ってるのなんて知らないで」
「ううん。後つけたあたしが悪いんだよ!」
「え…あとつけてたの?!」
「……」
しまった…
自分で自分の首を絞めるようなことを…
絶対ひいたよね?さっきの聞いて柊斗ひいたよね?

