お父さんは落ち着きを取り戻したらしく
正気にも戻った。
柊斗はそんなお父さんに何度も何度も頭を下げ
早く挨拶に来なかったことを悔やんでるみたい。
あたしの説明とあき兄のフォローで
お父さんも納得してくれた。
むしろ柊斗のこと気にいってくれたみたい。
「ごめんな柊斗くん。宏和に言われたままの印象だと思っちゃってね」
お父さんは頭をかきながら言う。
「いえ…宏和くんの気持ちもわかるので」
あたしには知らないヒロを知ってる。
なぜか知らない方がいいような気がした。
それより、ヒロは相当お父さんにいろいろすりつけてたらしい。
どんだけ柊斗が嫌なのって思ったけど…
「さっきヒロさ、柊斗のことフォローしたよね??」
「あぁ…俺もビックリした」
柊斗も思わぬことだったらしく、すごく驚いている。
あれだけ威嚇してたのに。
ヒロの中で何かが変わったのだろうか。
「男同士のなんちゃらってやつじゃね?」
あき兄がにこにこしながら言う。
男同士のなんちゃら?
「だって公園でヒロと柊斗くん一緒にいたんだろ?」
「うん!なんでだろうって思ってたけど…なんで?」
あたしはあき兄から柊斗に視線を移して聞いてみた。
柊斗は笑顔になって
「男同士の秘密」
そう言って、教えてはくれなかった。