大量の資料を運ぶのに、軽く30分はかかったと思う。
疲れ果てたあたしは、資料室に座り込む。
それを見た柊斗が
「なつかしいなーこの光景」
昔のアルバムを見てるかのように言った。
この光景って資料室。思い出なんてあったのかな。
「なにか思い出でもあるの?」
やっぱり聞かずにはいられない。
そしたらあたしの目の前に座り、あぐらをかいて
「結菜覚えてない?夏休み前のこと」
夏休み前…
「俺が久しぶりに学校来て、江本に頼まれた資料を結菜も手伝ってくれたじゃん」
「あぁ!もちろん覚えてるよ!!柊斗ものすごく困った顔してたんだもん」
あの時初めて柊斗と絡んで
冷たい人なのかなって印象だったな。
「あの時から俺、結菜が好きだったんだよ」
「え?!そうなの??」
この話しは聞いたことない。
だからあたしは目を見開いて柊斗をガン見。
「うん。結菜の笑顔に惚れたんかな」
笑顔…それも初めて聞いたから
あたしの鼓動がトクントクンと早く鳴ってる。
1つ思ったことを聞いてみる
「柊斗さ、2学期からキャラが全然違うって思ったけど…無理してたの??」
ほんとの柊斗がわからないって思って、とまどった時も正直ある。
今は大分落ち着いてる感じ。
「無理はしてないけど…とにかく結菜に濃い印象を持たせたくてね!夏休み中いろいろ作戦練ったかいがあったよ!!」
作戦なんて練ってたの。
でもあたしのことずっと考えててくれたんだ。
なんだか嬉しいなんて思ってしまう。

