会話が終わると、楓はまた黒板の方へ身体を向けて先生の話を聞き始めた。
しばらくすると校内のチャイムが響き、生徒達が「終わったー」「長かったー」などと口々に解放されたように呟き始める。
「じゃ、来週のテストまでしっかり勉強頑張れよー!解散!」
我が校では、最小年齢とされる20代後半の男の担任が大きな声で皆にエールを送り、皆は一斉にぞろぞろと教室を出て行く。
私も机の横にかけてあったリュックを持ち上げると、テスト勉強に必要な教材をリュックの中へと入れる。
「またねー!海!」
楓は私にさよならを告げると、タッタッタッと友達と教室を出て行ってしまった。
正直・・・少し友達と下校したいな、なんて寂しい気持ちも出てくる。
でも、なんだかんだあの姿を見てしまうとどうしても気持ちのスイッチが切り替わっちゃうの。