大崎温子は行き詰まっていた。
何十人の不妊治療を成功させ、
人工授精させ、医院は産婦人科と
小児科、医師も看護師も増え
経営は順調だった。
大崎は独身で、事故死した
妹夫妻の息子、優一を引き取り
優秀な進学校に小学校から通わせていた。

問題は、同時期に通院し始めた
3人が、人工授精出来ない事だった
小林潤子は、県警本部長に若くしてなった
エリート官僚の夫
荒川充子は、弁護士の夫を持つ書道家
新山恭子は、ジャズピアニスト
3人は、共通してストレスを
抱えていた。

小林潤子が、大胆んな提案をしてきたのは
梅雨のある日
「先生、私、東京の有名予備校で講師してたんだけど
優一くんの家庭教師やるから、優一くんにストレス解消してもらって
いいですか?このままじゃ子供できないし、先生も今までの経歴に
汚点残すのいやでしょ?」
「大崎さん、家庭教師は、大歓迎ですけど、優一と関係もつと?」
「それはわかりません、可能性は否定しませんが」
「私も甥っ子を巻き込みたくはないですが
状況が状況がですし、まぁ」
「じゃ、毎週月曜日受診の帰りに優一くんを連れて行きます」

「先生は、受精できるように、祈っててください」
「なんだか複雑ですが、一つの選択肢として受け入れましょう」