上手くいった――――



そう心の中でほくそ笑んでいる人物が一人。

平助に手を引かれている菖だ。



菖の正体はなんと、暗殺の命を受けたレイスであった。


本来暗殺は、闇に紛れ音もなく行われるもの。

ターゲットが数人の場合ならそれでいい。


だが、今回の新撰組の様に大所帯の場合は、潜入し事細かな事情を把握してから事に及ぶ。

油断したところを一網打尽、これがオラシア独自のやり方。


屯所へ売り込みに行こうと見張っていたが、タイミング良く平助が腹痛になったので計画を変更したのだ。


薬師という設定は、新撰組に近付きやすく流れでも怪しまれないから。

レイスが元薬師であるというのも理由の一つ。
付け焼き刃の知識ではない為、信憑性が高くなるのだ。


当初の計画と多少違いがあったものの、怪しまれずに近付けたので成功といえよう。