「それに、近藤さんにも紹介したいしさ。」


きっとびっくりするぜ。なんてお気楽発言。



「あ、いえ。いくらなんでも屯所にまでおしかけるという訳には…」



痛みが治まっただけで薬師としては十分ですし。と平助を睨んでいる土方を気にしつつ、菖は断りを入れる。



「いいじゃん連れてくくらい。新撰組が助けてもらって礼の一つもしないなんてどーすんだよ。」



睨まれてもなお意見を曲げないのはまだ10代という歳のせいか。



「はぁ。近藤さんに会わせるだけだぞ。」


「やりぃ。じゃ行こうぜ!」


「え、えっ?」


平助は菖の手を引いてかけていく。



「いいんですか?まったく甘いんだから。鬼の副長が聞いて呆れますよ。」


「うるせー。」



土方が沖田と平助を探しに来たのは、帰りが遅く襲撃に遭っていないか心配だったから。


反幕府や裏切者は決して許さないが、新撰組、特に昔からの仲間には特に甘い。

鬼の副長と恐れられていても、中身は堅物だが仲間思いの優しい人物である。