頬に触れていた手は、重力に逆らうことなく地面に落ちる。



閉じられた目も、言葉を紡いでいた唇も、何故だか微笑んで見えた。

もう二度と、動き出すことはないけれど。







抱き締めていた土方も、



止血していた平助も、

事態を収拾していた沖田も、



指揮をとっていた近藤も、

この後を思案していた山南も、



到着した医療班も、

処理をしていた隊士達も、






言葉を発することなく、
指一本動かすことさえ出来なかった。



増援の隊士が来るまで、誰一人として。