「…土方さん…、貴方は…優しい。鬼の中に…それを…見つけてしまった……あの時、それに気付けて…いれば、何かが…変わった…のでしょうか。」



斬った人達の分まで、生を背負っているということに。



「旗に…誓った…こと、話して…くれました…よね。」



後ろは振り返らない、前だけ見て突き進む、と。



「だから、忘れて…下さい。こんな間抜けな…私のこと…なんて…」



功績と引き換えに恐れられてゆくも、誓った強い意思が新撰組にはある。


真意を知った今、邪魔はしたくなかった。

これまでも、これからも。


だから、忘れて欲しかった。



「忘れねぇ。絶対忘れねぇし、この事態の責任取って俺のそばにいろ!そんなこと二度と考えねぇ様に見張っててやる。」



「頑固、ですね…1度…だけでいいんです…最後の…お願い…ですから…聞いて…下さい…」



「最後なんて言うんじゃねぇ。これから、何度だって……」



血に濡れた震える手を土方の頬に伸ばす。



「私…みたいに…過去…に囚われ…ないで…ください…」



幼い子供をあやす様に、優しい笑顔で伝う涙を拭う。