「菖……」



そこに居たのは、いつもの着物姿ではなく、さながら監査の様な服装の菖だった。



「なんで、ここに…それに何だその格好は…」



屯所内にいるはずのない菖に、土方は戸惑う。



「っつ―――…………」



菖に気を取られ刀を持っていた手の力が抜けたその瞬間、土方は押し倒され短刀を突き付けられる。


その衝撃で刀は手から離れ丸腰状態だ。



「お前が暗殺者、なのか…」



目の前にしても信じられずに尋ねる。



「そうです。私は数年前、貴方が反逆と決め付け粛清した不知火厳羊の弟子、不知火菖。」



「不知火厳羊…」



土方には、その名に聞き覚えがあった。


方々旅をしているとても腕の良い薬師だと父から聞かされていた。


自分は違う道に進んだが、いつか会えたらと思っていたのだ。


そんな人物を自分が粛清したとは信じがたかった。