「何か掴めましたか?」


「それが、こちらの動きを察知したようでパッタリと。噂も消えました。」



山南は山崎に経過を尋ねるが、答えは芳しくない。



「そう、ですか…。撤退した、とは考えにくいですね。」



山南の読み通り、新撰組の動きを知った鞍雀が手を回したのだ。



「仕掛けてくるでしょうか。」


「分かりませんが、今度計画している討ち入りで屯所は手薄になります。これまでもありましたが、こちらの動きを知られたとなると…」


「ですが今度の討ち入り件、今を逃したら逃げられます。」



内偵を重ね掴んだ好機を決して逃すわけにはいかない。



「ええ、そうですね。何か手を打ちましょう。」



外からやってきた余所者に、治安を乱される訳にはいかない。


山南と参謀である伊東は培ってきた己の知識を駆使し、これまで幾度とあった危機的状況を回避し新撰組を守ってきた。


2人の頭脳があれば鬼に金棒だ。



「この件、実働する者以外には極秘とします。」


「分かりました。」



誠の名の下に誓った想いは皆同じ。

それが新撰組。



全ては未来の平和の為に。