―――土方さん。きっと貴方は知らないのでしょうね、菖蒲の花言葉を。



寝る為に外した簪を月明かりに翳す。



菖蒲の花言葉は他にもある。


その中には、『愛』『あなたを大切にします』そんな意味もある。



飾りものながらその菖蒲は美しかった。


真っ黒な自分とは対照的に。



―――復讐だけが生き甲斐だった。

なのに、この気持ちは……。



師匠や町の人達の命は、こんな気持ちで惑わされるほど軽くはない。


だから、暗殺者になった。


そして、今回のターゲットは新撰組。

この絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。


出会い方も潜入も印象も、今までの中で最高だ。


順調に行っていると思ってたのに。



―――どうして貴方なのだろうか………



知らずに流れる涙は、運命を嘆き憂いていた。