「今日は天気も良いし散歩でもするか。」



土方の気まぐれにより2人は町へと繰り出す。


いくつか店を回り、次に立ち寄ったのは小物屋。

色とりどりの櫛や簪、紅などが置いてある。



「………。」


「なんだ?気に入ったのか?」


「あ、いえ!綺麗だと思っただけですから。」


そういって違う小物へ移動する菖。



土方の目線の先には、先程まで菖が見ていたもの。


紫色の菖蒲があしらわれた簪だ。


自分の名前が入っているからか、綺麗で見惚れていたというよりは魅入っていたといった方が正しいのかもしれない。



「そろそろいきましょうか?」

「ああ。」



小物屋を出て甘味屋へ寄る。


あんみつを食べていると、土方が無言で小さい紙袋を菖に差し出す。



「?あの…」


「開けてみろ。」