「菖さん、お味はいかがかな?」


「とても美味しいです。」



任務や鍛練で汗をかく隊士達の為か、少し濃い味付けだが食材の風味を殺さず引き出している。



「美味いだろ!俺達の故郷の味さ。」



平助は、食べながら故郷のことを自慢気に話す。


故郷といっても平助個人のではなく新撰組、つまり新撰組の前身である壬生浪士時代のことである。



話ながら、おかずを取り合いながら、そんな和気あいあいとした食事風景。




―――こんな奴等に…!!


笑いながらも菖は腸が煮え繰り返っていた。

殺気が微塵も感じられないのは暗殺者故だ。



このまま回数を重ねて、更に信用されるように持っていく。


復讐決行への一歩を踏み出した。