「山南さんに分からねぇものはねぇな。」


「そんなことありませんよ。ただ平助くんの場合は、分かりやすいだけです。」



土方は感心するが、平助の普段を見れば山南でなくても分かるというもの。

平助は育ち盛りかよく食べる。
甘味処の常連なのは、土方には内緒だ。



「こっちの女の子は…」


「菖さん、ですよね?初めまして。山南と申します。」


「あ、菖と申します。」


「山南さん、菖のこと知ってるの?」


紹介しようとした菖を、山南が知っていたことに驚く。



「今言ったでしょう?初めまして、と。平助くんの声が聞こえてきただけですよ。」


「な~んだ。びっくりした。」


「お前の声がでかいだけだ。もう少し大人しくしとけ。」