「麗華。もういいよ」





亜貴が、病室の中からあたしを呼んだ。


何時間、廊下で待ってたんだろう・・・。


あたしはゆっくりと顔を上げて、
ふらふらと病室の中まで歩いた。



「俺、先生と話してくるから、
 麗華はここで待ってろな?」


「うん・・・」








亜貴が病室を出て、
あたしは祐兎のそばまで歩いた。





祐兎はベッドの上で、目を閉じていた。




ピッピッ―と、
難しそうな機械が祐兎を囲んでいた。



この画面に映るのは、
今の祐兎の心拍数とか、なんだろうか。



あたしは祐兎の顔をじっと見つめた。



よかった。



助かったんだね。



なんとも、なかったんだ。



良かった。


ほんとに。












「祐兎・・・」











「・・・なんだよ」
















「え・・・?」



低い声が聞こえて、
あたしはぱっと顔を上げた。



寝ていたはずの祐兎が目を開けて、
だるそうにあたしを見つめていた。



「え・・・。大丈夫なの?」



祐兎は上半身を起こして鼻で笑う。



「別に・・・。なんともねぇよ。こんなん。
 ・・・お前、なんつう顔してんの?
 ただの腹イタだっていって・・・」






「嘘!!」












しんと、静まり返る。







あたしが怒鳴ったから。







あたしが、立ち上がって、叫んだから。