嘘だよ。
お兄ちゃんが負けるはずない。
お兄ちゃんが、
こんな汚いやつらに負けるわけないよ・・・。
悔しい。
悔しい。
「それとあたしと、何が関係あるの?」
あたしは泣かないように堪えて、
そういった。
「お前の家に莫大な慰謝料も払わなきゃねぇし、
世間体は悪ぃし。
俺にとっていいこと一つもねぇんだわ」
「何それ・・・」
「おまけに持田祐兎のバンドに入っちゃって。
あいつも上手いこと考えるよな。
ガラの悪いあんな不良でも、
お前みたいな女つれてりゃ、そりゃ顔も効くって」
何それ・・・。
何だそれ・・・。
そんな自分勝手な・・・。
そんな理不尽な・・・。
「謝ってよ・・・」
「は?」
謝って。
謝れよ。
お兄ちゃんに・・・。
「謝れ!!」
あいつに・・・。
「あーあ。女だからってこっちが
下手に出てれば調子に乗りやがって・・!!」
殴られる。
そう思ったその時だった。
「麗華!!!」