「ここ・・・病院?」






大きな総合病院。


何で祐兎がここに??



「ね、ねぇ、なんでこんなとこ・・・
 もしかして、どっか悪いの?」



あたしは恐る恐る聞いた。


祐兎はじっと、
そこに大きく聳え立つ病院を見つめていた。


あたしが祐兎を見つめると、
祐兎はあたしを見て言った。




「知り合いがさ、病気でさ、
 ここに1ヶ月に1回検査に来てるんだ」


「そ、そうなんだ」



なんだ。
祐兎じゃないんだ。



びっくりした。


余計な心配させないでよ・・・。





あたしがほっと息をつくと、
祐兎はベンチを指差していった。




「あそこで、少し待ってろ。すぐ戻るから」


「え?あ、うん・・・いいけど」



あたしが返事をすると、祐兎は静かに笑った。



「マジで?サンキュ。んじゃ」



手を軽く振って、祐兎の背中を見つめる。



どうして、
祐兎はあたしをここに呼んだんだろう・・・。



突然、
あたしの腕を掴んだ祐兎の手は意外と大きくて、




そしてどこか、不安そうだった・・・。







どうしてだろう。


あたしは何故か、
このときの祐兎の言葉に違和感を覚えていた。