今日の練習はいつもよりは短くて、
皆で揃ってスタジオを出た。



「ねぇ、今日はどこに行くの?」


「今日は悪いけど、どこにも寄れねぇよ。
 何?どっか行きたいとこある?」


「え?みんな帰るの?」


「うん。用事があってさ。モッチーに」




祐兎?


あいつに一体何の用事があるっていうんだよ。



「んー」


「何?麗華、どっか寄りたかったか?」


「ううん。別に・・・」



あたしがちょっと残念そうに下を向くと、
祐兎がため息をついた。



「おい、行くぞ」


「え!?」




しょうがないから、
亜貴と一緒に本屋でも寄ろうかなって思ってたのに、
祐兎がいきなりあたしの手を掴んだ。



他の3人がびっくりしてみている中で、
祐兎は構わずにあたしの手を引いてスタスタと歩き始めた。




「ねぇ、ちょっと!!何してんのよ!?
 どこに行くの?」




っていうか、
何であたしを勝手に連れてくのよ。



「うるせぇ。黙ってついて来いよ」





あの時と同じ・・・。


こいつはいつもこうやってあたしを振り回すんだ。


あたしはただ、
この背中についていくだけ。



何も喋らない祐兎に手を引かれ、
白い建物に辿り着いた。