「おい、大丈夫か?」


「え?うん。ちょっと・・・」



あたしが祐兎から目を背けると、
亜貴があたしの手をとった。


「あのな、目閉じろ」


「亜貴?」


「いーから」



あたしは黙って目を閉じた。




そうすると、
冷たい何かがあたしのおでこに触れた。



「あき・・・」





「ど?リラックスしてきた?」


「うん・・・。すごい。何したの!?亜貴」


あたしは驚いて目を開けた。


そして、おでこから離れていく冷たい感覚が、
亜貴の手だったことに気付く。


亜貴は苦笑してあたしを見た。



「何って、別に、普通に手を当てただけ。
 人ってさ、単純なことするとリラックスできるらしいよ」



亜貴はそういってまたベースをいじり始めた。



「ありがとう。亜貴」


「・・・。なーんか、その顔、怪しい。キモいわ」


「うっさい。全く、
 何であんたはいつもそう腹立つこというのかな」


「なんだよ!本当のことだろ!?」


「あー、はいはい。二人とも、曲練習やるぞ」



そうこうしているうちに、あっという間に時間は過ぎて、
気付けばもう、当日が来てしまっていた。



男子校でやるライブは、
女の子はちょっとだけ来てたけど、


半分以上が男子、男子、男子!!



まぁ、
バンドマンたちが集まったんだろうケド・・・。



だけど、こんなの苦じゃない。



あたしが本当に心配なのは・・・。








「来たー!!女の子捜すかな?」


「たけし。お前黙ってろよ。
 顔はかっこいいんだから」


「モッチー、お前この間のことで顔バレてんだから、
 自粛しろよ。ちゃんと」


「わかってるって」


「すっげぇすね。女の子がいるの中学ぶり!!」


「磯部くんまで・・・」








本日、
あたしの2度目のライブinうちの学校祭。





天気もよく、雲ひとつない快晴だった。