LAST SMILE




「ねぇ、ここの歌詞だけど、こっちに変えてもいい?」


「・・・え?あ、ああ」


こいつもおかしい。


祐兎の様子が最近変だ。


何を言っても上の空。


あたしが話しかけるとびくっとして、
そしてすぐに目を逸らす。


あたし、なんかした?


これじゃあ、
初ライブまでこのままなんじゃ・・・っ!!






「REI。お疲れ。大体歌えるようになったじゃん?」


「そう?たけしのドラムも最高だね!」


「ねぇ、REI。自販いくの?
 俺、オレンジジュース飲みたいな」



武田くんと、磯部くんはいつも通り。


磯部くんは、いつも通り、
駄々っ子のような瞳で見つめてくるから、
何か頼まれると断れなくなっちゃう。



「おい、祥吾。自分でいけ」


「えー。面倒。てか、亜貴が買ってきてよ」


「はぁ。しょうがねぇな。麗華は?何飲むの?」


「え?あたしは自分でいくよ?」


「いーから」



亜貴はすっと立ち上がってあたしの返事を待った。



「・・・じゃあ、チョコミントで・・・」





「んなくそまずいの良く飲めんな!?」


あたしが答えると久しぶりに、
祐兎からからかいの言葉が聞こえた。