あたしは、あのあと、あいつらのバンド、
Blue skyのメンバーとアドレスを交換していた。


亜貴にはまた学校が終わったら連絡するといわれ、
一緒にスタジオに行くことになった。


不思議と、さっきまでイライラしてた怒りは収まって、
亜貴といるのが別に嫌じゃなくなった。


亜貴は話してみると意外といいやつで、
お兄ちゃんみたいな、そんな感じがした。












スタジオについて、あたしは思わず立ち尽くしてしまった。


電話をしてくるからと言って亜貴がいなくなり、
一人で部屋に入ると、そこにはあいつだけがいた。



だけど、あたしを拉致していったあいつじゃない。


そこにいたのは別なあいつ。



“Blue skyの持田祐兎”だった。





煙草の煙を身に纏い、真剣な目つきで楽譜を追うその姿は、
あたしがムカつくあいつじゃなかった。


こんな人、知らない。


誰?この人は・・・。




金髪がライトに照らされてキラキラ光る。


蒼い目が捉えているのは最早、目の前の楽譜だけ。


あたしはその様子をじっと見つめていた。


その時、突然祐兎が煙草を吐き捨てて口を開いた。






歌、歌うのかな?



半ば楽しみに待っていると、
あたしのところに聞こえてきた声は、



想像していたものと違った。