歌った。









もう一度、
 あの歌詞を。








あたしたちが
最初に出逢ったあの歌を。









ねぇ、




この歌は、
あたしがあなたを思って歌った歌だよ?









気付いてた?














“好き”













その2文字がいえなくて、






不器用にも下手くそな歌で
伝えようとしたあたし。






あなたは気付いてくれる?







途中、祐兎の体重が
あたしにのしかかった。






崩れるからだ。



だけどあたしを抱きしめる腕だけは力強くて、



あたしは思わず途中で切れてしまった。





「大丈夫だ・・・から、続けて・・・」


「祐兎・・・。でもっ!!」



祐兎は悲しそうな顔をした。


あたしはそれ以上言うのをやめて、
また、歌い始めた。




何度も、何度も。



曲が終っても、
また初めから繰り返して。








何度繰り返したかな?


祐兎の体温が下がり始めた。



ヒュー、ヒュー、と
何かがなり始めた。





だけどあたしは、それが祐兎の
発作の狭窄音だって知らなかった。




ただ、あたしは歌い続けていて・・・。










「麗華・・・」












祐兎の声が聞こえた。






彼の声が、聞こえた。