「あれ?麗華戻ってきたの?」




学校に着くと、クラスメートから声をかけられる。


「ねぇ、あの男子、隣町の高校の生徒だよね?」


「いいなぁ。さっすが“REI”だよね」


「ね、ね、何したの?」


あー。
うっさい。


あたしは適当に返事をしてベランダに出た。


ここから、遠くの方にあいつのいる高校がはっきりと見える。



あいつ、ほんとにムカつく。



ていうか、
あたしも何うっかりOKなんて出してんだよ。



でも仕方なかった。


あそこで、OKせざるを得なかった。


だって、あの少し蒼っぽい瞳で見つめられていたら、
何故か吸い込まれそうになって、



気付いたら・・・。







「こら!藤堂!さっきのは一体なんだ!?」


気付くと担任があたしの後ろに立っていた。


みんなは野次馬のように周りを囲んで遠巻きに見ている。



見てないで助けてよ。


弁解してくれたっていいじゃん。


拉致られたって・・・。




「あー、先生。違いますよ。なんかあたしも訳わかんなくて、
 勝手にあいつが入ってきてそれで―」


「いいわけするな!藤堂、職員室に来い」


「はぁ!?ちょっ!!っだから違うってば!!」




先生はあたしの言葉には耳を傾けずに、
少しイライラしながらあたしの手を引っ張った。


つか、女子高生の手を引っ張るおやじ教師って・・・。