祐兎は短くそう答えた。
“だから”って?
あたしは次の言葉を待った。
祐兎はギターを握りしめて続けた。
「俺のわがままで結成して、
俺のために集まってくれたメンバー残して、
俺だけ全部責任投げ捨てて死ねないって」
「そんな・・・・」
「祥吾をサイドギターに置いてるのは、
俺がいなくなったあとでも、
Blue skyがやっていけるようにするため。
お前をボーカルにしたのも、
喉が痛いっていう理由もあったけど、
俺がいなくなったあとの
正式なボーカルにするためってことだよ」
何それ・・・。
なんなのそれ・・・。
「ここに名前を彫らないのは、
どうせこのバンドから消える人間だ。
そんなやつの名前、
ここに残ったって迷惑なだけだろ?」
淡々と話す祐兎を、見ていられなかった。
どうして?
何でそんな“準備”をしているの?
やめてよ。
お願いだから・・・。
「やめて」
「どうせ死ぬなら、
誰の記憶にも残らずに消えてぇしなぁ」
やめて!!

