「本気、ってことよねぇ.....。」
紅羽ちゃんのお母さん、波乃(なみの)から連絡が来たのは、3週間前だった。
波乃とは高校時代の親友で、大人になって別のみちを進んでもずっと連絡をとっていたのだが、私がこっちにきたことと彼女の会社が忙しいのがかさなって、ここ二年ずっと連絡を取っていなかった。
古い友人からの第一声は「紫ぃ......」という情けない声だった。
「ど、どうしたの、波乃。久しぶりじゃない。」
「ああ。紫....。ごめんなさい、お願いがあるんだけど....」
学生時代から何かとお願いはされてきたけれど、今回のはさすがに驚いた。
「私の娘....しばらく預かってくれない?」
「えええぇぇ!!ど、どいうこと....?」