今年もあと1週間ほどで体育祭の日となる。

「ねえ、今年の体育祭はどれ応援する?私的にはだんとつで男子騎馬戦なんだけど。」
「カボわかってる~っ♪当然騎馬戦でしょ!ハルナは今年こそ体育祭の後夜祭で彼氏作るんだから~。」

カホが話すのは親友のハルナ。かわいい彼女の悩みは生まれてから1度も彼氏がいないこと。
ちなみにカホは去年の体育祭の後夜祭で人生初の彼氏ができていた。そろそろ付き合って1年になる1つ年下の彼氏だ。

先ほどから何度も出てきた『体育祭の後夜祭』というのは、カホの通う中学の伝統行事といっても過言ではない。その主なイベントとは体育祭の表彰式のあと全校で校庭でキャンプファイヤーをし、花火をすることだった。
数年前の卒業生のお父さんが花火師であり、その年からは、花火大会よりは小さいながらも打ち上げ花火も行うようになり、近所でもちょっとした見物である。

その打ち上げ花火の1発目が上がったときに告白をしてうまくいったらずっといっしょにいられるという噂がある。いかにも中高生が好きそうな、なにかの根拠があるわけでもないそんな噂をみんなが口では否定しても、心のなかで少し期待し、少し信じていた。