だから、大きな音をたてても翔哉の睡眠に影響は出ないのだ。
こんな時に都合が良いとはなんて皮肉だ。
わたしはなるべく音をたてないように服に着替え、書斎にあるスーツケースをとり、ベッドの側に来た。
最後に翔哉の寝顔を見て、軽くキスをし、手紙を引き出しの上に置き、家を後にした。
いや、もう家とは言えないだろう。
ただの空っぽのマンションになった。
ふと、頬が湿ってるのを感じた。
手でふれると、そこにはいつの間にか、涙が広がっていた。
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