その罪悪感が先に立ちすぎて、
視野を狭くさせてるのかも知れない。
一方的な思いをどれほどに押し付けても、
相手を苦しめるだけなのに
それすらも、気が付けずに。
そして……もしかしたら神威君もまた、
飛翔を守ろうとしてるのかも知れません。
飛翔を冷たく突き放して
総本家に関わらせないようにしている。
飛翔は、今は分家の末端の人間。
もしかしたら……お父様である、
飛翔のお兄さんがどうして、
飛翔を分家に養子に出したのか
大人の世界で強く揉まれ続けた彼は
気が付いたのかも知れません。
こんなにも思いあって響きあっているのに
決して相容れることのない不器用な形。
目に見えず、
言葉にしていないからこそ、
水面下でぶつかり合う感情は、
次々と相手を傷つけていく。
飛翔は……黙ったまま、
お兄さんからの手紙をじっと見つめている。
「……飛翔……。
それで貴方はどうしたいのですか?」
静かに言葉を続ける。
ここで飛翔の心をまた閉じさせてはいけない。
私の心がそう告げるから。
覚悟のメス。
貴方を追い詰めるであろうと知りながら
あえて……言わせてください。
互いを思いあいながら自滅していく
二人をこれ以上見ていたくないから。