悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence



鷹宮院長によって告げられた飛翔の休暇。
その日から数日が過ぎようとしていた。


幾ら徳力絡みの仕事と神威君探しに慌ただしいとはいえ、
一日に僅かな時間でも、鷹宮に顔くらいは出せるはず……。



ここには、飛翔のお母さんも入院しているのだから。



だけど……休暇を告げられたその日から、
飛翔は一度も姿を見せない。



姿を見せないだけではなく、
どんなに電話をかけても、その電話すら繋がらなかった。




研修の合間に時間を見つけて、
飛翔のマンションに出向きたいと思いながらも
時間に追われすぎて、そんな時間すら思うように作れない。


飛翔が居ないまま、着々と進んでいく私たちの研修。


勇も私も、それぞれに飛翔を気にかけながら
必死に日々を送り続けていた。



「ほい、お疲れさん」




医局で必死に居残って作業を続ける私の傍に、
近づいてきて、マグカップをデスクに置く。



「嵩継さん……」


マグカップの先、視線を向けたところには
嵩継さんと勇・千尋君の姿。


「勇に千尋君まで……」


三人の名前を呟く私。



三人はお互いの顔を見合わせた後、
再び私の方に視線を向ける。




「すいません。
 私の作業が遅れていますね。

 すぐに片付けますから」


慌ててデスクに置かれたマグカップの中のハーブティーを
一口飲んで、ノートPCと睨めっこしていく。



「千尋、勇人、氷室と交代」


嵩継さんの言葉の後、二人はすぐに私の机に山積みになっているファイルを奪って
二人で今まで私がやり続けていた仕事を続けた。