悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence


三月上旬、ボクは鷹宮総合病院を退院して
そのまま連れられた場所は、飛翔が父さんによって渡されたと言う
マンション。



山辺に住む被災者の村人たちが、一斉に住むそのマンションへと
ボクは連れられた。



無言でボクにお辞儀をする村人たち。




だけどそんな無言のお辞儀が、今のボクにはストレスを与えていく。




*


当主としての役割すら果たせない未熟者。



*



そんな風に責められているようにすら感じられて。




逃げるようにエレベーターに乗り込むと、
ボクは飛翔と共に最上階へと上がった。



最上階でゆっくりとエレベーターが止まり、ドアが開くと、
エレベーターの前で見知らぬ二人が深々とお辞儀をして膝を折っていた。




「父さん、母さん。
 膝を折るなんて止めてくれ。

 神威は当主じゃない。

 ただの神威だ」



飛翔が告げるその言葉が、
ボクのプライドを深く傷つけていく。



「飛翔、控えろ。
 ボクが当主だ。

 お前が徳力に戻ってきたのであれば、
 僕に従うのが筋であろう。

 そこに控えているお前たちは、何者だ?

 なぜ、ここに出入りすることを許可されている」



エレベーターから一歩出て、言い放つボクに
飛翔は無言で視線を飛ばしてくる。


いつもの仕返しのつもりか?



「ご挨拶が送れました。

 先代当主の命により、
 今日まで、飛翔さまを養子として迎え育てて参りました。

 一族末端の早城と申します」

「早城。

 先代当主とは、父のことだと思うが
 ボクはそのようなこと、一切知らぬ。

 このものが父の札を持ち、ボクと同格の地位を得ているらしいが
 当主としてボクは認めぬ。

 それだけは覚えておくと良い。

 出迎え御苦労、下がれ」



それだけ告げて、ボクはマンションの最上階の扉を開けて中に入ると
アイツを拒絶するように、内側からドアの鍵をかけてチェーンで侵入を拒む。



暫く飛翔は、俺の名を叫んでいたが
それもすぐに消えた。