「失礼致します。
YUKI、今日も来たわよ」
そう言って姿を見せたのは、見知らぬ女の人。
「あれっ?先にお客様がいらしていたのね。
徳力さま……かしら?」
「はい」
「社長から伺っています。
この度は、由岐が大変お世話になりました。
私、由岐のマネージャーを務めている有香琥珀です」
そう言って、その人はゆっくりとお辞儀をした。
その後ろから姿を見せたのは須王依子……。
「こちらは須王依子。
新たに、由岐のサブマネージャーとして入社した新人スタッフです。
依子、ご挨拶を。
我が社がお世話になっている徳力さまです」
「初めまして。
この度、トパジオスレコードに入社しました須王依子です。
どうぞ宜しくお願いします」
そう言って挨拶をかえした存在は、
今までの出来事を何も知らないかのように元気に笑顔を見せた。
「お体は?
最近まで意識がなかったと伺っていますが……」
「まぁ、依子そうだったの?
今は大丈夫?」
「有香先輩、大丈夫です。
何か凄く長い夢を見てたんですよ。
YUKIの夢を……。
ずっと寂しくて孤独で不安で……。
だけどYUKIが夢に出てきて私を助けてくれたから。
だから今度は、本当に意味で私がYUKIの力になりたいんです。
父の会社の時はご迷惑を沢山掛けましたから」
そう言うと、依子は愛しそうにベッドに眠り続ける由岐和喜と書かれた青年に
そっと触れた。
「神威、行くか……」
これ以上の長居は邪魔になるかもと、声をかけて病室の外へと退室する。
「また来る……和鬼」
そう言って神威は、俺の後を追いかけてきた。