悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence


譲原咲の母親の自宅から、マンションへ戻る途中に
車内で眠りについてしまった神威。


どんなに生意気でも、どんなに頑張って大人の世界で生きようとしても
こいつはまだ小学生のガキには違いない。


一緒に暮らすようになって、コイツの無造作な姿を見ながら
少しホッとする俺が存在した。


車内の洋楽の音量を少し絞って、夜の道を愛車で駆け抜ける。


その途中、華月から一本の電話が入った。




須王依子の父親からコンタクトがあったこと。
『逢って話したい』っと申し出があったこと。



徳力の一族が、今回の一件のことを調べていることが
何処からかの情報網で相手に入った状態だった。


思わず助手席で寝息を立てる神威を見る。
多分、コイツが起きていたら『行く』と宣言するだろう。




「わかった。
 華月、メールで詳細を添付してくれ。

 後、その現場に一番近いホテルを予約してくれ。
 このまま直行して、今夜はホテルで休む」



予定を変更して、マンションへと向かっていた車を
次なる目的地へと方向転換させて走らせていく。


30分ほど走らせたところで華月からのメールが着信を告げ、
予約されたホテル名と、調査資料が添付されてきた。



ホテルの駐車場に愛車をとめて、チェックインを済ませると
神威を抱き上げて、そのまま部屋の中へと入る。


アイツをベッドで寝かせるとノートパソコンを立ち上げて、
鷹宮の電子カルテを確認して状況を確認すると、
今度は華月からの添付資料の確認を始める。



そこには須王グループが倒産した後、辿った末路が綴られていた。



*


7月10日 現在

家族関係

・須王啓二【すおう けいじ】54
・須王慶子【すおう けいこ】56
・須王依子【すおう よりこ】17


調査内容



6月20日  啓二・慶子離婚。 
      依子の親権は啓二。

7月    依子と咲の対人関係に亀裂

7月15日  YUKI トパジオスレコードに移籍

7月16日  ルビーレコード倒産 
      依子 聖フローシア学院退学
      
      同日、自室で倒れているところを父親に発見。
      現在も意識が戻らない。


*


そう言った内容が事細かに記されていた。