悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence



「華月、調査の状況はどうなってる?」


ベッドから起き上がってすぐに、
マンションの最上階に顔を出していた華月に声をかける。



「ご当主、その前にまずは朝ご飯を。
朝食の後には、万葉が資料を揃えて参ります」



華月はそう言うと、テーブルの上に和食を並べ始める。


焼き魚・玉子焼・おひたし・煮物・味噌汁にご飯。


出されたそれらを黙々と食べ終えて、
再び声をかける。



「ごちそうさまでした」


両手を合掌して小さく声を出すと、華月に柔らかに微笑んだ。


「アイツは?」

「飛翔は朝からお仕事に行きましたよ。
 今は飛翔も研修の身。

 仕事に行ける時は行かないと……」


そうかっ……。


そうだよな。
ボクと違って飛翔には仕事がある。

アイツはそんなこと、微塵にも顔に出さないけど
華月の言葉は、それにすら気が付かなかったボクへの未熟さを
指摘されたような気がした。




「自分の部屋にいる。
 万葉が来たら呼んでくれ」

「かしこまりました」




背中を向けて、早々に自分の部屋へと戻る。



今もボクの脳裏に大きく過るのは、
あの鬼のこと。



そして依子と言う女の存在。




目を閉じれば……精神を集中すれば、
あの鬼のことがもっとわかるかもしれない。



もう一度、あの鬼とコンタクトが取りたくて
自室の一角、床に座って呼吸をいつものように整えていく。



整えながら、一生懸命あの鬼のことを考えて思って
意識を繋げようと望むものの、
こういう時に限って思うように繋がらない。



何度も何度も繰り返しては、失敗ばかりする中で
来客を告げるチャイムの音が聞こえて、
すぐに華月がボクを部屋へと呼びに来た。