「すっかり飛翔も保護者だねー。
 
 御神体とか、龍の継承とか私には、わからない世界のことだけど
 当事者に取っては、大変な出来事には違いないよね。

 けど……助けられる方法は、考え込むほど難しいものではないんじゃないかな。

 私はどんなことがあっても飛翔の傍で見守り続ける。
 飛翔のことも時雨のことも、私は一番近くで見守るって心に決めたから。

 すべては、その一歩から広がっていくんじゃないかな」




俺自身の不安に寄り添ってくるように染み入る、
親友の言葉。



考えても悩み続けても始まらない。



俺自身が出来ることはただ一つ。



神威があの鬼を助けたいと奔走するのならば、
その願いをかなえるために、アイツを支え続けること。


アイツの傍で、見守り続けること。




どれだけ考えても、それしかない。




だけどそれは……今の俺にでも出来る
大切な役目なのだと気付かされた。





今は、この親友と仲間たちの好意に甘えながら
いつかは……こいつら恩を返したい。





それが本当の意味での『仲間』って奴なのかもしれない。




由貴と過ごした時間は俺にとって、
見失いがちな大切な時間を取り戻させてくれた
そんな気がした。