「神威、後もう一つだけ。
 早城の親は、兄貴が……お前のお父さんが選んだ人だ。

 俺は早城の両親によって救われた。
 だから俺は決めた。

 早城の親には、神威に対して敬語は使わせない。

 お前は俺たち前では、徳力の当主じゃなくて
 ただの徳力神威。

 兄貴の忘れ形見なんだ。

 それだけは忘れるな」




俺の周りには、こんなにも身近に
支えてくれるヤツラがいる。


鷹宮にも同じように見守って、
支えてくれる人たちがいる。


俺は支えられて、今日まで歩き続けられた。


だから……神威にも気負わずに支えてくれる
そんな奴らと出逢って欲しい。


その為の手助けなら、
俺の親友たちも精一杯の力を貸してくれる気がして。


そんな奴らと一緒に、
俺はアイツの居場所を守ってやりたい。


アイツが徳力の荷物をおろして、
僅かでも息抜きできる場所が出来ればいい。


否応なしにでも時が来たら、
当主として動かないといけない。



今も、当主としての責務は多いだろう。



だが……贄となるべき、
バカな役割はすべて排除して
新しい一族の体制を整えていく。



その改革を神威と華月と進めながら。






ふと窓から外を眺めると、
薄らと空に架かる虹が視界にとまる。