大きい人ばっかり…。
少し圧倒されかけていると、朱井君のお兄さんが気づいたのか近寄って来てくれた。
「えーと…、大丈夫?」
「あ、はい。朱井君のお兄さん、いつ入っていいですか?」
首を傾げると、笑われた。
「んー?もう少ししたら休憩だから、その後の一対一から入ろうか?…それまで身体温めといて?」
「分かりました」
私は隅に行き、鞄からバッシュをだす。
黄緑色と黄色、白で統一されたバッシュ。
履き終わってソワソワしていると、また朱井君のお兄さんが駆け寄って来てくれた。
ボールを渡されて首を傾げると…?
「大きいけど、大丈夫?リングも高いし…」
「はい。大丈夫です。助けて貰ってばかりですみません」
「いやいや…俺が悪いし…。それに俺…暁(あきら)って言うんだ。だから暁先輩でいいよ」
コクリと頷くとまた練習に戻って行く。
私は使われてないゴールでボールの大きさとリングの高さを確かめる。
ゴール下でシュートを撃つと、
ーシュバッ
と音と共に入る。
「…恋羽!」
「…?」
私が振り向くと、竹田先生と男の人。
「あ、竹田先生…。…こんにちは」
「…信太、良い子じゃん?男しか居ないけど…大丈夫かい?」
「恋羽を吹っ飛ばさないで下さいよ?恋羽は全国でもトップクラスにも入るんですから」
竹田先生は呆れたように言う。
「分かってるよ。恋羽ちゃん、初めまして…。俺は信太のことを育てた、小川です」
「…初めまして。…真夏恋羽です」
握手を交わす。
小川先生は息を深く吸った。
竹田先生は急いで私の耳を塞ぐ。
「しゅーーごーーー!!」
竹田先生に塞いで貰っていたが、意味が成り立って居ない。
それくらい……凄かった。
「「はい!」」
集まって来たのは、30人…位。
「見ての通りだが、今日は真夏恋羽が来てくれた」
「え?…真夏恋羽って!?…あの!?」
「あの『女神の司令塔』…?」
「…?」
私は竹田先生を見ると、フッと鼻で笑われた。
「そーだ。全日本中学バスケットプレイヤーに贈られる、『最優秀選手Best of the授賞』を10年振りに勝ち取った選手だ…」
小川先生は付け足して、
「まぁ、一応だが…。暁みたいに吹っ飛ばすんじゃねーぞ?」
と言ってガハガハと笑った。
「「はいっ!」」
私はただただ先生の話を聞くだけ…聞かされた。
「休憩後…?一体一!」
その言葉で一揆にへたり込む暁先輩たち。
「真夏先輩っ」
「あ、朱井君」
私が振り向くと、微笑む朱井君。
「一体一…やりませんか?」
「…うん」
疲れているというのに、私の相手をしてくれる朱井君。

