少し離れた位置に居たのは、背の高い朱井君によく似た人だった。
「ごめんな…?大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
「ホントごめん。俺、気付かずにレイアップシュートで…思いっきりぶつかったから…」
ホントに申し訳なさそうに謝ってくれる朱井君のお兄さん。
「ホントに平気です。…えー…と、朱井君のお兄さんの方は…大丈夫ですか?…足捻ったとか…」
見る限りでは…大丈夫そうだけど…。
「あ、うん、大丈夫…です」
私はその返事を聞いた後、ベッドをおりた。
「あ、沙苗先生。もう大丈夫そうなのでバスケ…観て来てもいいですか?」
「あ、うん。いーよ?…着替えたら?」
「…え?」
「どー言うことですか?先生」
朱井君のお兄さんは首を傾げる。
「だってバッシュあるし、いかにもセンスありそうだもんね」
「一緒に、出来ますか?」
私は恐る恐る、朱井君のお兄さんを見る。
「あ、うん。出来るけど…今日は男子バスケ部だけなんだけど…大丈夫?」
「…はい」
「じゃ、俺もやる!」
イタズラな笑みを浮かべる朱井君。
私は思わず、小さく笑う。
2人には先に行ってもらう。
「先生、どうして分かったんですか?」
私は疑問をぶつける。
「信ちゃんが言ってたのよ」
ニコリと笑う沙苗先生。
私は制服の下に着ていたTシャツな上に長シャツを来て、バスパンに着替える。
「…沙苗先生」
私は荷物を持って呼びかける。
「…ん?」
「来週、1人でまた来ます。そしたら、学校案内してくれますか?」
「うん。いいよ?…恋羽って呼んでもいい?」
「あ、はい」
少し笑うと、沙苗先生はニコリと笑う。
「来週楽しみにしてるわ」
「ありがとうございました」
私は頭を下げて、体育館に向かった。
既に練習に加わっていた朱井君。