恋羽に恋に落ちた。
「…あの」
俺は礼子の事を謝ろうと、キーパーに声をかけた。
「…あ、川湖のキーパーだよね?」
ソイツはニッコリ笑って、俺に手招きをする。
チームから少し離れた位置で止まる。
「………悪かった。俺のチームメイトがしたことで…」
頭を思いっきり下げる。
…すると、軽く2回頭を撫でられた。
俺が驚いて頭を上げると、微笑まれた。
「知ってるよ。でも恋羽が『あの子に罪はないから』って僕に言ったんだ」
「え…」
罪ありすぎるだろ?
だって…、怪我しなければ。
「…恋羽が許すなら僕は良いんだ」
そして俺に手を差し伸べてくる。
「…僕は山岡裕貴。よろしくな」
俺はそっと山岡裕貴の手を握った。
「…よろしく。俺は雪道多和」
「珍しいね」
そう言って笑う山岡裕貴。
「…裕貴君っ?皆先に行っちゃったよー?…あ」
俺の存在に気づかなかったのか、恥ずかしそうに「ごめん」と言ってもと来た道を戻ろうとする。
「待って!」
俺は呼び止めた。
「え?」
驚いて俺を見る、大きなクッキリ二重。
「俺はもう行くから…。裕貴と行きなよ」
裕貴は俺を見て、キョトンとしている。
「ありがとう。じゃあ、また何処かで会ったらよろしくな?多和」
裕貴は走って彼女に近付いて行く。
彼女の足は痛そうで…しかも、肩も大分辛そう。
それを知ってか肩に手を回そうとする裕貴の手を…彼女は握った。
裕貴はかなり驚いている様子だったが、愛おしそうに彼女を見つめて、肩をより合わせて消えて行った。

