ベンチでキーパーによって、足にテーピングを巻いている。
肩も床に打ち付けていたから、湿布を貼られている。
センターバックは、何故だかキーパーの様子を伺っているよう。
キーパーは…黙って、テーピングを巻いている。
…とても申し訳なく思ってくる。
俺は礼子に歩み寄る。
「…何、してんだよ」
低い声で呟き、思いっきり睨んだ。
「だって、チームの為だよ」
礼子は泣きそうな顔をした。
「…誰も頼んでない。コートの外に出ろ」
俺は礼子をコート外にだした。
足を庇いながら戻ってきたセンターバックを支えながらキーパーはギュッと唇を噛み締めていた。
試合再開になったが、思いの外…センターバックがシュートをねじ伏せてくる。
でも…それはどうしても弱々しく…。
結果は7ー41で終わった。
決勝戦。
見ていると、あの礼子のせいで怪我をしたセンターバックは限界に達している。
でも、周りもセンターバックを庇いながらもやっている。
チームワークがとても良く相手もタジタジだった。
結果は2ー1で負けてしまった。
センターバックである真夏恋羽は、その場に座り込む。
礼子がトリッピング(足をかけること)をしようとしなければ、あのセンターバックの子はこんなにはならなかったはず…。
俯いているセンターバックに近寄ったのは、あの優しそうなキーパーだった。
キーパーはセンターバックの目の前にしゃがみ込む。
そして何言が喋っている。
センターバックはハンドボール用の両面テープをはずして、キーパーを見つめている。
センターバックは静かに目を閉じる。
周りは静寂に包まれる中…。
キーパーはそっと微笑んで、唇にキスをした。
「「…っ!?」」
周りは皆、息を呑んで驚いている。
センターバックは自分に起こったことが分からなかったのか、キョトンとしていて…。
…その時俺は、

