もう一度、君と…。


ウォーミングアップでオフェンスの練習をしている羽翼。

パスまわしといい、シュートといい…。

レベルが違う。

…一番凄いと思ったのは、センターバックだ。

女子の中でも小さい方に入るであろう体型なのに、ポストにもはいっている。

センターバックは背の高めの奴が入る事が多い。

でもあの子は小さいし、腕があんなに細い。

フットワークの強そうなチーム。

センターバックは…特殊なパスまわしをする。

シュートだって、ブラインドシュートだし、パスはジュニアには難しいラテラルパスを使用している。

ブラインドシュートとは…ディフェンスに重なるようにして、キーパーの死角を狙って打つ。

…そしてキーパーが苦手にしやすいシュートの一つだ。

…しかも、俺とは相性が悪い。

一番苦手なシュート。

ラテラルパスとは、手首のスナップで投げるハンドボール特有のパス。

素早い展開に期待ができる。

「…ヤバイかも」

ポストだってブラインドシュートだ。

フローターであるセンターバック、レフトバック、ライトバックはどんどんとパスをだす。

終いには自らミドルシュートを打ってくるつわもの。

サイドにいるレフトウィングやライトウィングも、難しい角度だと言うのに…よく入る。


俺はチームを隅に集めた。

チームのキャプテンは俺。

「…あのチームは、凄い」

俺は余り他チームを褒める事はしないタイプ。

だからこそ、皆驚いている。

「…センターバックは特にだ。ポストにも入るし、ミドルシュートも打つ。パスの展開も早い」

「…で、どーする?」

晟弥はボールを器用に指先でクルクルと回す。

「…3ー2ー1ディフェンスだ。フローターをとにかく止めよう。ポストも見くびるなよ?」

ーーピー…