でも…アイツがいたら、変わってたのかもな。

雪道多和。

お前だけだよ。

裕貴はもういないんだ。

恋羽がどれだけ裕貴のことを思っていても…裕貴は還っては来れないんだ。

「…い、行かないよ!アンタのになんて乗らない!これは裕貴君が私の為に買ったんだ」

恋羽は涙を流しながら言う。

悔しかったんだ。

信じてたものが崩れ去って行くのが…。

「…恋羽、行こう。帰ろう」

俺は恋羽の手を引いて、人混みを抜ける。

灯真も俺たちについてくる。

「…もう、ダメなのかもね」

恋羽が急に呟いた。

ごめんな、恋羽。

俺は…最低な、男だよ。

その呟きを聴かなかったことにした。

「…」

灯真も黙って聞いてない振りをする。

泣きながら俺について歩く恋羽を見て思ったのは…。





俺には恋羽を幸せには出来ない。

そのことだけだった。