ー慶介サイド

俺は今日、朝から恋羽とゆっくりデートをする予定。

でも急に午前中は、恋羽は練習試合が入ったらしくて…。

只今、バスケの練習試合を見学中。

恋羽は厳しい目を向けて、ジーッとプレイヤーのことをみている。

「…暁先輩。腕ほぐしましょうか?」

恋羽が声を掛けたのは、暁という男。

まぁ…またそれが悔しいくらいにイケメン。

恋羽は暁という男の腕をマッサージしだした。

話の内容は聞こえてこないが、きっとバスケのことだな。

相手チームは前岡高校。

『ディフェンスの前岡』

そんな言葉を聞いたことがある。

きっとディフェンスを徹底的にやっているんだろう。

高美桜笑は毎度この東京を背負う全国強豪校のひとつ。

『完璧の高桜(たかおう)』

恋羽がマネージャーになってからついたあだ名がコレ。

昔よりも強いことが明らか。

「…真夏さん、準備はいいですか?」

前岡高校のキャプテンらしき人が、恋羽に話しかけている。

…うわ。

コイツ絶対、恋羽に惚れてる。

「海崎(かいざき)さん。お久し振りです。今日も負けませんよ」

恋羽はニッコリと笑う。

でもそこにはいつもの弱さはない。

…中学校の恋羽は、こうだったのかもしれない。

薄っぺらい笑顔を貼り付けてる恋羽に対して、海崎も負けじと笑顔。

「…今日は負けませんよ。こないだこてんぱんにされましたから。地に落ちたからには這い上がりますから」

……うわ、なんか黒い!

恋羽と海崎の間に黒いオーラが漂っている。