俺は…行かないで、と言うようにきつく抱きしめる。
行かせたくない。
それなら行かせなきゃいい話。
「…行っちゃダメ」
俺らしく無い。
本当に…。
でも…ここで百合月さんの所へ行く恋羽を見てしまったら…。
絶対に心がへし折れるはず。
「…どーしたの?お腹痛い?」
百合月さんそっちのけで、恋羽は俺の心配をし出した。
「…恋羽ちゃん。また…会いたい」
「「え?」」
恋羽同様に、俺も驚いてしまった。
百合月さんは、真剣に恋羽を見つめる。
…この人、本気だ。
俺はごくりと息を飲む。
「…?」
恋羽は不思議そうに首を捻る。
「…あ、真夏ちゃん!夏休み、一緒に花火大会いこーね♡」
唯野さんが俺と恋羽の間に割り込んできた。
うわっ!
最低なやつ!

