私は初めてその人の顔をきちんと見た。
…二重のパッチリ目。
私はこの目を見た事がある。
「…バスケの試合でお会いしましたっけ?」
たまに居るんだ。
どっかで見た事があるなぁ、って思ったら案の定…バスケの人だったってやつ。
「…いや、俺…サッカー部なんで」
さ、サッカー?
無縁なんですけど…。
「……真夏、こうさん…ですよね?」
私はまだ受験票も置いていない。
だって、キラキラネームに近いよ?
だって…恋羽をこうって呼んでくれる人…少ないし。
多分、制服の名札を見たんだよね?
「…なんで、真夏こうだと思ったの?」
私は真っ直ぐにその人を見つめる。
「…昔、小学生の頃にいた子でそんな子いたんだよ。…俺、その子をハンドボールに誘ったんだ」
ニッコリと笑う。
…あ。
やっと思い出した。
「…。憶えてるよ。でも…名前がずっと思い出せなかった」
私は彼の名札を見て、やっと思い出した。
「俺も憶えてるよ。この教室に入って来た時、確信した。また美人になった?」
おどけて笑うその姿に、とても懐かしさを感じた。
「…間宮 慶介(まみや けいすけ)」
私をハンドボールにで合わせてくれた人。
「フルネーム?…前みたいに呼んでよ?」
「…は?」
私は声にでてしまった。
「だって、あん時、《慶ちゃん》だったよな?」
「…」
私は無言で睨む。
それを見て、
「うわぁ〜、美人の無言に圧力って嫌だよなぁー」
と、笑った。

