「ねぇ、今日のパンは良い出来よ!ティアもそう思うでしょ?」
オーブンから出したパンをクンクンと匂いながら、美味しそうな匂いに口角が上がる。
朝早くから作り始めたかいもあり、朝ご飯にはなんとか間に合いそう。4時から始めて本当に良かった。
ふわぁっと欠伸をする。
「良い出来だとは思いますよ?でも…。」
ティアは呆れたような顔でパンを途方もなく見つめている。
「でしょ!早くお皿に並べましょ!」
だけど、私はこのパンの出来の良さに気分を良くして、ティアの話を全然聞かず、ウキウキとお皿を並べていた。
「この量を2人で食べるっていうの?」
「ん?何か言った?」
「はぁ…何にもないですよ。」
渋々といった感じで、ティアはいつもの場所に腰を下ろし、私もそれに便乗するように座った。
2人でいっぱいいっぱいの小さな机には今日の力作達が机の上に所狭しと並んでいる。
「じゃあ、いただきましょうか。」
ティアの号令に手を合わせ。
「「いただきます。」」
私は出来たてのパンを頬張った。
パリッとした外側の生地に中はふわふわで我ながら上手に出来たと、感極まる。
今までの苦労は無駄じゃなかった!!
極度の料理音痴の私はやっと、人並み程度のものを作れるようになったんだ。
ここまで来るのに何年かかったか。
数々の失敗を思い出したら、涙が出てきそうだ。
時には使い終わった油をそのまま水で流そうとして、家が火事になりそうになったり。
ティアに言われた通りの分量と材料を入れたのにも関わらず、未知の味を叩き出したり。
醤油とハバネロを間違えていれてしまった時は辛すぎて、当分の間ご飯を食べることが出来なかったり。
他にも思い出せば、切りが無いほど失敗してはティアに怒られていた。
