「うぅ……。」



「私は間違っていたのかもね、あの時の選択を。」

今でも鮮明に思い出す。
汚れた感情を持つ白達を。

そして、あの日の卑しい自分を。



「だから、聞いて。あなたは生きるのよ。私の分まで。」

自分の本音を隠し、私は笑顔で送り出す。



私の唯一の友でもあるあなたを。







「ウワァアアアアアアアッッ。」

ごめんね。



私を恨んでもいい。
憎めばいい。


それで、あなたが生きてくれるのなら。










ーーーーーーーーーー
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ーーー…
……



「おい、お前。」


「……。」


「おい!!」


「あ……なによ。」

いつの間にか視界の端で捉えていた彼が私の目の前にいる。



「あなたはどうして毎日ここへ来るの?」

ティアのことを思い出して、少し感傷に浸ってるのだろうか?私は少し聞いてみたくなった。


なぜ、私を殺さないのか。



「は?お前が人を襲わないか見張ってるんだ。」



「じゃあ、殺せばいいでしょ。その方が手間も省けて、悩みも解決して一石二鳥よ?」

どうせ、遅かれ早かれ私は白に殺される。未来に希望を見出せない今。抗おうなんて思わないわ。


こんな醜い世なんかに。




「馬鹿にするな!!」



「馬鹿になんてしてないよ。ただそう思っただけ。」

冷めた口調で言えば、ギロリと睨まれた。


最初は怖いと感じた睨みももう何も感じない。




「いいよ、好きなだけここにいればいい。」

私はもう逃れられないところまできているのだから。