女はビクッと肩を上げたが、俺の言葉が気に食わなかったのか、
「違います!!」
と、反論する。
「じゃあ、何故ここにいる。」
「それは…。」
「言えないって訳か。なら、仕方ない。王都まで連行するまでだ。」
「どうして私が!」
「今のところ、お前が一番怪しいからだ。」
「そんな!私はそんなことしてません!!」
「なら、それを証明する証拠はあるのか?」
一瞬、苦虫を噛み潰したような顔をしたが、一つゆっくりと深呼吸すると
「…ないわ、でもそれはあなたにも言えることじゃない?」
ワーワーと叫んでいた女は急に瞳を変え、俺に意見した。
俺に楯突こうなどと愚かな。
「どういうことだ。」
「分からないの?あなたには私が犯人だという証拠がないんでしょ?だったら、私を捕まえることはできないわ。」
確かに。
それは一理ある。
「チッ。」
「残念でした、精々どこにもない証拠探しをすることね。」
ふん。と鼻を鳴らし、もう俺を見ることはなく森の奥へと駆けて行ってしまった。
その数分後、
「ルイス!!!良かった!!」
今までどこにいたのか、今頃になってクラリスがこちらに大きく手を降ってやって来る。
今はそれさえ腹立たしい。
「急に走り出すから、見失ってしまったよ。もうちょっとで俺もこの森の餌食になってしまうところだった。」
ぶるりとわざとらしく体を震わせるクラリス。
そんなクラリスを俺は無視しながら、元来た道を戻る。
「お!やっと戻る気になったか!だから、言ったろ。何もないって。」
やっと、戻れると思ったクラリスは行きとは比べ物にならないぐらい口が動き、ウザさに拍車がかかっている。
それを黙らせるため、俺は開きたくない口をわざわざ開いてやった。
「明日もここに視察だ。」
「え、えっ?えぇええええええ!!!?」
