「ちょっと、小杉! そんな言い方ないんじゃないの? 一生懸命書いたんだよ?」

「何熱くなってんの? それが気持ち悪いじゃん。人形みたいな根暗な女と俺、付き合う気ないし」

「なんてひどい奴なのっ!」

こんな奴だとは思っていなかった。

顔を赤くして腹をたてているあたしに翔平は「まあまあ」と肩を軽く叩き、健人に言う。

「気がないのならそれは仕方ないけど、健人、傷つけないように断れよ」

健人はごまかすように適当に笑って、「じゃあな」と言って去っていった。

「……ひかり、かわいそう……」

「仕方ないだろ。相手の気持ちだってあるんだから。ま、俺たちは両思いだもんな」

翔平はぐっと私の肩を引き寄せ、唇が髪をかすめる。

「ちょっと! 誰かに見られたら、からかわれちゃうじゃん」

健人に苛立ったせいもあって、あたしは軽く翔平の胸を突き飛ばすと、部室に向かって歩き出した。


ストロークの練習中も小杉の言葉が耳から離れずにイライラして、ボールにぶつける。

「おいこら! 亜美! ボールはネットを超えさせろ!」

すぐ近くで見ていた顧問の山田先生に怒られる始末。